「木村伊兵衛 天然色でパリを撮る」を見た

1月22日(日)に放送されたNHK日曜美術館「木村伊兵衛 天然色でパリを撮る」を録画で見た。

写真家木村伊兵衛は、1954~55年に当時日本で開発段階だったカラーフィルムを使い、パリの街を撮影した。司会の千住明と女優の緒川たまきが木村の足跡をたどる。50年前のパリは、カラー写真で見ると、異国の地なのにとても懐かしい気持ちがする。そして、彼が撮影した事物は今日、ほとんど残っていない。

驚くべきことに、試作段階のカラーフィルムはASA10という低感度だ。現在標準の400どころか100でもなく、後者のわずか10分の1だ。単純に言うと、シャッタースピードを普通のフィルムの10分の1にしなければならない。つまり、手ぶれしやすくなる。木村はライカのM3にF1.8の明るいレンズを付け、30分の1秒という遅いシャッタースピードで撮影したそうだ。しかも手持ちである。恐ろしい技術だ。

緒川たまきさんは以前新日曜美術館にレギュラー出演していた。それ以来見かけることがほとんどなく残念に思っていたが、久しぶりに見ることができて嬉しかった。知的で話題豊富なのに、たれ目で、笑顔を絶やさず、雰囲気が柔らかいのである。こんな女性には魅力を感じる。感じたからといって、別にぼくの人生に何か変化があるわけではないが。。。

再放送は1月29日(日)20時から。

http://www.nhk.or.jp/nichibi/weekly/2012/0122/index.html

映画「恋の罪」

映画「恋の罪」をサロンシネマで観た。かなりヘビーだ。
タイトルには恋とあるが、愛のあるセックスは全く登場しない。

ヒロインの一人である菊池いずみは恵まれた主婦でありながら夫の帰りを待つだけの日常に空虚感を感じ、ふとしたきっかけでセックスと売春にのめり込んでしまう。その世界への手引きをするのが尾沢美津子だ。美津子は有名大学の助教授でありながら毎夜渋谷の廃アパートに街で声をかけた男を連れ込み売春をしているのだ。

1997年に起きた東電女性社員殺人事件にこの映画はインスパイアされている。お分かりと思うが、美津子は殺されるのである。

その事件捜査を担当するのが吉田和子という女性刑事だ。和子は、愛人との関係で精神のバランスを保っているという。この役を水野美紀が演じているのだが、これまでのイメージとのギャップに衝撃を受けた。

人の心の深部にある闇を見せつけるような映画だ。と同時に、人の心がほんとにこんな風になるのか、という疑問も一方にはある。

映画の中で、一つだけ「良し!」と思ったのはラストシーン。女刑事が愛人からの誘いにのらなかった場面だ。この人は衝撃的な事件から人間の一面の真実を受け止め、自分の陥っていた落とし穴から抜け出すきっかけを得たのではないかと感じた。

- 映画「恋の罪」公式サイト http://www.koi-tumi.com/

とおくてよくみえない

広島市現代美術館で開かれている、高嶺格(たかみね・ただす)の「とおくてよくみえない」展を見に行った。印象に残った作品をいくつか書いておきたい。

2次元の部屋
一般の人から送ってもらった毛布や刺繍を枠に貼りつけ、もっともらしい解説文をつけて展示するという作品群。名もない人がつくったものを芸術作品として見せるという試み。古くは、マルセル・デュシャンが男性用小用器に、自分の妹に自分のサインを書かせ、「Fountain (泉)」というタイトルをつけて美術展に出品して物議を醸したが、アートとは何か、アーティストとは誰か、を問いかけるものだ。

ベイビー・インサドン
「在日韓国人である妻との結婚までの葛藤を写真とテキストで綴った」のだそうだ。ぼくが最初に驚いたのは、結婚前に6年間も付き合っていながら彼が在日の問題について全く学ぼうとしなかったことだ(もちろんその後に深く学ぶのであるが)。広島という土地は、在日コリアンも多く、原爆投下時にはおよそ3万人の在日朝鮮人が命を奪われたといわれる。平和活動に関わってきた関係上、原爆被爆の問題を学ぶ中で、在日の問題も学び、考えたからだ。また、妻が在日外国人教育および人権教育の運動に関わってきたので、この問題は日常的に耳にしてきた。

A Big Blow-job
「真っ暗な空間に廃材や不要となった家具とともに文字が照らし出される」という作品。文字は「共有感覚とは何か?」をテーマに書かれている。暗闇の中で、曲線に沿って並べられた文字に光が当てられていくので、一度に全部を読むことができない。そうした不自由な体験を強いることで、見る者に失われた感覚を取り戻させようとしているのだろうと思った。作品のタイトルはヤバい感じだが、学芸員の女性はそのことに全く触れなかったな、そういえば。

とおくてよくみえない
ボランティアとのワークショップから出来上がった作品とのこと。まず、老若男女のボランティアが一人づつ白い陶器で突起を作る (They look like dildos)。突起が地球につながったものであると捉え、世界に立ち向かうために彼らが突起に噛み付く。この動作を「影絵」に記録し、プロジェクターで映写する、というもの。彼らの動作は噛み付くというより、床に置かれた突起を四つん這いで咥えて、頭を上下しているので、それこそ、前の作品のタイトルにある動作に見えてしまうのだ。これに参加した人たち、恥ずかしくなかったのかな? 羞恥心を克服したんだろうな、きっと。それとも、ぼくの見方が間違ってるのかな?

6月25日には作家本人によるアーティスト・トークが行われるそうだ。

Martin Creed 展

広島市現代美術館に行ってきた。今の特別展は「Marin Creed(マーティン・クリード)」、イギリスのアーティストだ。

http://www.hcmca.cf.city.hiroshima.jp/web/main/special_exhidition.html

チラシには次のように紹介してある。

マーティン・クリード(1968年生まれ、ロンドン在住)は、1990年代初頭に活動をはじめ、日常とアートが境なく続いていることを、時にユーマルスに、またラディカルなほどシンプルな形体や手法によって表現してきました。2001年にはイギリスで活躍する現代美術家に授与される「ターナー賞」を受賞し、その活動は国際的にも大きな注目を集めています。

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イベント、アート、ボサノバ、映画の2週間

少々ずぼらかもしれませんが、この2週間の出来事をまとめて書いておきたいと思います。

11月16日(日)午前 国際交流・協力の日

平和のためのヒロシマ通訳者グループ (HIP)として、「ひろしまを英語でガイド」というプログラムを担当しました。広島の主要観光スポットを英語でガイドするための入門講座です。今回のテーマは「比治山」。受講者数は68人。HIP会員の参加者およびチューターの外国人を合わせた人数は26人と盛況なイベントとなりました。講座後のアンケートでは、「大変良かった」が78%、「まあまあ良かった」が22%と、プラス評価が100%で高い評価を得ました。皆で苦労して教材や運営の準備をしてきたので嬉しかったです。

11月16日(日)夕方 キャンドルメッセージ

ICBUWヒロシマ・オフィス主催のイベントに参加。劣化ウラン兵器の禁止を求める文字「BAN DU NEXT」を1000本のグラスキャンドルで描くというもの。主催スタッフは皆顔見知りなので、当然のごとく裏方をお手伝いしました。キレイでしたよ。

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レッド・クリフ=壮大なアクション映画

映画「レッド・クリフ」、観てきました。三国志の「赤壁の戦い」を原作とした超大作映画なので、楽しみにしていました。

古代中国の大規模な軍勢同士の合戦シーンは、血湧き、肉躍る、迫力あふれるものでした。映画を観ている最中は、ずっとスクリーンに目が釘付けになっていました。アドレナリンも出まくりな感じです。

ところが、見終わってしばらくすると、気づくのです-----感動がない。興奮はしたけど、感動するものが何も無かった。もちろん目頭が熱くなるようなシーンもなかったし。そして、赤壁の戦いのクライマックスである、80万の軍勢の大船団が燃え上がるシーンは来年4月のパート2までおあずけなのです。これにはがっかり。

いや、見ている間は楽しかったんですけどね、たしかに。でも、う~~~~~~ん。。。

石内尋常高等小学校

95歳の現役映画監督新藤兼人の最新作「石内尋常高等小学校 花は散れども」を見た。解説によると、豊川悦司扮する売れない脚本作家山崎良人は若き日の新藤兼人さんなのだとか。一種の自伝的映画らしい。

互いに思い合いながら、高等小学校を卒業して離ればなれになった良人とみどり(大竹しのぶ)は、30年後、恩師市川先生(柄本明)の退職記念謝恩会で再会。旅館の女将であるみどりには夫がいたが、大阪に女をつくって別居していた。良人とみどりは一夜だけ結ばれた。5年後、良人はみどりに女の子が生まれていたことを知る。二人は互いに結婚したいと思いながら、別々の道を歩むことを選ぶのだった。

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老境のラブロマンス@サロンシネマ

サロンシネマに映画を見に行った。タイトルは「あの日の指輪を待つ君へ」。第二次世界大戦で亡くなった恋人テディを50年間思い続ける女エセルと、その女を50年間思い続けた男ジャックの物語。

1991年、米国ミシガン州ブラナガンに暮らすエセル・アンの元に北アイルランドのベルファストから国際電話が入る。ジミーという少年が米軍爆撃機の墜落地点で彼女の名前の刻まれた指輪を発見したというのである。ここから、若き日のエセルと三人の青年たちの行動と思いを辿る旅が始まる。監督は「ガンジー」を撮ったリチャード・アッテンボロー、主演は圧倒的な存在感をもつシャーリー・マクレーン。

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被爆からわずか8年後の原爆映画

9月26日・27日の両日、横川シネマで映画「ひろしま」の自主上映会が開催されました。ここ数日話題になった日本教職員組合が1953年に自主制作した映画です。原作は長田新編『原爆の子』、脚本は八木保太郎が担当し、関川秀雄監督がメガホンを取りました。所属する映画会社と争ってまでノーギャラで出演した月丘夢路を初め、岡田英次、山田五十鈴など当時最高の俳優が出演しています。「原爆の子・友の会」、総評、文化人会議、子供を守る会、広島市など多くの団体が制作に協力しました。当時、ボランティアでエキストラとして出演した広島市民の数は8万人に上ったそうです。ヒロシマ・ナガサキの悲劇を二度と繰り返してはならないという、数多くの人々の思いが結実した映画でした。

原爆をテーマにした映画としては、1952年に公開された新藤兼人監督の「原爆の子」に次ぐものです。1952年、サンフランシスコ平和条約が締結され、GHQによる占領が終わったばかりの時期に制作が開始されたものです。原爆が投下され、戦争が終わってからわずか8年という時期ですから、制作者、出演者共に原爆や戦争の記憶が生々しく残っていたことがよく分かります。原爆の子の像のモデルになった佐々木禎子さんが白血病を発症する2年も前といえば、いかに早い時期に作られた映画かということがご想像いただけると思います。ちなみに、海外で初めて制作された原爆映画ともいえるアラン・レネ監督の「ヒロシマ・モナムール(二十四時間の情事)」の公開が1959年ですから、その6年前になります。

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