なぜ、脳はセックスで活性化するのか?

これは大島清氏の書いた本のタイトルだ(じっぴコンパクト新書)。氏は京都大学名誉教授、大脳生理学者、医学博士という肩書きをもっていて、著書も多い。この本は、人の目をひくタイトルだが、いたって真面目な、中高年の健康について書かれたものだ。目次から、章題を抜き出してみよう。

・第1章 男女の脳の不思議な仕組み
・第2章 性感を高めることが脳の活性化につながる
・第3章 異性を愛することが脳の活性化を高める
・第4章 早起きと睡眠管理が脳の活性化をサポートする
・第5章 リズミカルな生活が脳の活性化をうながす
・第6章 いつまでも若さを保つための脳の活性法

というわけで、セックスについて書かれた部分は全体の3分の1くらいで、残りはきわめて常識に乗っ取った健康維持方法の解説だ。とはいえ、次のように衝撃的な記述もある。

「ヒトの性欲は90歳頃まで決しておとろえない」という見出しの節がある。その中で、歳をとっておとろえるのは「性欲ではなく性力」なのだという。90歳まで性欲がおとろえないというのはさすがに驚いた。

まあ、俳優の岡田真澄さんは60歳の時に26歳年下の元スチュワーデスと結婚して子どもをもうけている。ピカソは生涯に2回結婚し、3人の女性との間に4人の子を作ったという。たまたま今日朝日新聞土曜版で読んだブラジルの詩人ビニシウスに至っては生涯で9回結婚し、最後の結婚は64歳で、その2年後に本人は死んでいる。また、歳をとるほどより若い女性と結婚したのだそうだ。恐るべし、人間の性欲、である。

さて、歳をとり、モノが役に立たなくなったとしても、異性とのヒフのふれあいが重要だと著者はいう。性器結合だけが性ではなく、言葉、手、五感のリセプター(受容器)のあるヒフの存在を忘れてはいけない、のだそうである。

「年齢に関係はありません。脳さえ活性化すれば、ヒトのセクシュアリティーは死ぬまで無限の可能性を秘めているのです」とのことだ。

いずれにせよ、異性に関心をもち、自分を磨く努力を続けている人はいつまでも若さを保つことができる、といえるようだ。

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