画家・藤田嗣治

今日、広島県立美術館で開催されている藤田嗣治展を連れ合いと二人で見に行きました。

藤田嗣治展

藤田といえば、ひろしま美術館に彼の宗教画が何点も収蔵されています。常設展で何度も見ているので、色白で繊細な輪郭線、 冷たい視線の人物像の絵という印象を持っていました。また、宗教画ばかりを見ていたので、まじめな人物を想像していました。

ところが、県立美術館の展覧会を見て、「目からウロコ」状態です。

なんだぁ、この節操のなさは!? へぇ、色んなタッチの絵を描いてたんだぁ。

で、節操のなさなんですが、まず、生涯に4~5人の女性と結婚しています。最初の妻と結婚後、すぐパリに渡ったので、この方とは全くと言っていいほど暮らしていません。数年後、フランスと日本に分かれたまま離婚。すぐに、パリの女性と結婚。で、フランスで、2~3人の女性と結婚したり、同棲したりしてるんですね。最後は50歳の頃、日本人女性と結婚し、死ぬまで一緒に暮らしたようです。まあ、うらやましいと言えば、言えなくもないですが。

節操のなさは、戦時中の日本に帰国後に多数描いた戦争画にも現れています。実に、軍部の望み通りに日本軍の勇敢な戦いぶりを描いています。日本兵は本当はもっと悲惨な苦しみを舐めたんですが。そのため、戦後、 美術界から批判を受け、アメリカ経由でフランスに逃げていくことになります。

色んなタッチの絵についていうと、藤田は淡い色彩、乳白色の肌、繊細な輪郭線、冷たい視線を特徴としますが、これは1920年代に描いた代表作についてはそういえます。が、実は色彩豊かな立体的な表現の絵画も描いていました。とくに、1930年代前半のラテンアメリカ旅行の頃に描かれた人物像は立体的で生々しいのです。また、戦後すぐに描いたルネサンス期の絵画をまねたような絵は、藤田独特の表現は影を潜めています。

ま、いずれにせよ、アーティストというのはこれくらい自由奔放でなきゃ歴史に名を残すことはできないのね、と感じた次第です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です