アベノミクスは何もしていない

もうすぐ選挙ですね。選挙の争点の一つはアベノミクスの評価です。
最近、京都大学名誉教授で有名な経済学者である伊藤光晴さんの『アベノミクス批判 四本の矢を折る』を読みました。

読んで驚いたのは、安倍政権発足以降の株価上昇と円安について、安倍・黒田氏は何もしていない、という事実です。第一の矢、第二の矢、第三の矢は幻想でした。

日本の株価は実は野田政権の末期から上昇が始まっており、それはヘッジファンドを初めとする海外の機関投資家がアメリカ、ヨーロッパの市場から主戦場を日本の市場に移したことが最も大きな要因だというのです。

また、円安は財務省による大規模な為替介入によって始まったのであり、日銀の金融緩和の成果ではありません。つまり、第一の矢は効果があったように「見える」だけで、実際には何もしていないのと同じです。

次に、第二の矢は国土強靭化のために10年間で200兆円を投入するという公約です。これは1年間あたり20兆円の予算になりますが、2014年度予算では公共事業は中央と地方を合わせて8兆円規模にすぎず、20兆円が入り込む余地はありません。そして、過去にそうであったように公約は無視されるしかないのです。一言で言うと、第二の矢は存在しなかったのです。

第三の矢である成長戦略については皆さんもご存知の通り、政策として具体化されたものは何もありません。

結局、この2年間に起きたことは、株高、円安、増税、物価高、そして経済成長率の低下です。成長率については次のサイトをご覧ください。2014年は野田政権時代の2012年よりも成長率が低いことが分かります。

http://ecodb.net/country/JP/imf_growth.html

つまり、資産をもつ人々だけが儲かり、もたない人々は増税と物価高に苦しむという構図です。しかも、安倍政権は企業減税をするという。派遣労働者を初めとする不安定雇用をますます増やすという。中小企業は経営者にも従業員にも政策の恩恵はありません。

不況時に政府が歳出を増やし、有効需要を創出するというのはケインズ経済学の常識ですが、現在の政権は有効需要の創出に失敗しているとしか思えません。小泉自民党の依頼の規制緩和で不安定雇用者が増大してしまった今、安定した雇用者を増やす政策をとらなければ彼らが安心して消費し、教育や住宅など自らの未来に投資することはないでしょう。フランクリン・ルーズベルト大統領時代のアメリカは、様々な実験的な政策を行いました。政府自らが様々なプロジェクトを創出し、失業者を雇用しました。このような野心的な計画が今の日本には必要なのではないでしょうか。

それにしても、、、嘆かわしいことは日本の野党の経済音痴ぶりです。もっと経済学者を味方につけて、魅力的な日本経済再建策を提案してほしいと、切に、切に願います。それなしに自民党から政権を奪うことなんてできないよ。

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