大学2年の頃、広島大学総合科学部初代学部長で、当時県立広島女子大学学長だった今堀誠二先生(故人)に、総合科学部創設のいきさつと理念についてインタビューしたことがある。総合科学部報『飛翔』に2回に分けて連載記事を掲載した。
今堀先生は、アメリカのリベラルアーツをモデルとし、複数の分野を専攻することにより新しいアイディアや発見を生み出す人材を育成することを目的としていらした。現実の総合科学部がそのように機能していたかどうかは別として、そうした理念の下に創設された学部に在籍することを誇りに思ったものだ。
発見というのは、多くの場合、ある物事を別の視点から見ることによって生まれる。一つの専門だけを掘り下げていくだけでは、新しい視点がないので発見は難しい。
だから、アイディアを生み出すためには、学ばなければならない。一つでなく、複数の事柄を学ぶ必要がある。
アイディアが生まれるためには、リラックスしなければならない。緊張状態に置かれているときにはアイディアが生まれることはない。追いつめられた人は頭が真っ白になるだけだ。
そして、アイディアを生み出す人は、学ぶことを楽しむ人だ。それは人生を楽しむことでもある。アイディア豊かな人は文化の遊びを知っている。