石内尋常高等小学校

95歳の現役映画監督新藤兼人の最新作「石内尋常高等小学校 花は散れども」を見た。解説によると、豊川悦司扮する売れない脚本作家山崎良人は若き日の新藤兼人さんなのだとか。一種の自伝的映画らしい。

互いに思い合いながら、高等小学校を卒業して離ればなれになった良人とみどり(大竹しのぶ)は、30年後、恩師市川先生(柄本明)の退職記念謝恩会で再会。旅館の女将であるみどりには夫がいたが、大阪に女をつくって別居していた。良人とみどりは一夜だけ結ばれた。5年後、良人はみどりに女の子が生まれていたことを知る。二人は互いに結婚したいと思いながら、別々の道を歩むことを選ぶのだった。

ぼくの父は新藤兼人さんの5歳年下だから、彼とほぼ同世代といえる。さすがに、新藤さんほどの元気はない。脳卒中で寝たきりとなり、言語障害をもった市川先生の姿には、老人ホームで寝たきりの生活をしている自分の母が重なり、身につまされた。

さて、この前の「あの日の指輪を待つ君へ」といい、「石内尋常高等小学校 花は散れども」といい、中高年の恋愛ドラマを立て続けに観てしまった。11月に上映される「コレラの時代の愛」を観たら、完璧だ。ちなみに、「コレラの時代の愛」は南米のノーベル文学賞作家ガルシア=マルケスの原作を映画化したものだ。愛する女性の夫が亡くなるまでの半世紀、求婚の機会を待ち続けた男の物語である。でも、本当に観るのか、これ?

いずれにせよ、中高年の恋愛を扱った映画が増えているのではないかという気がする。もっとも、自分がそういう年齢になったので、アンテナに引っかかるようになっただけかもしれない。11月下旬には「ヒロシマモナムール(24時間の情事)」が再上映される。これも、大人の恋愛を扱った映画の一つだ。

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