テロ、アメリカ、日本

※この文章は2002年3月にNY在住の日本人ジャーナリストの方にお送りしたメールです。

最近はちゃんと本も読んでいなければ新聞すらまともにチェックしていないので、まとまりのない文章になってしまうことをお許しください。

まず、政府レベルの行動という点での現在のアメリカは最悪です。地球環境問題、核兵器廃絶などあらゆる国際協調に背を向け、自国の論理を世界に押し付けています。そして、「テロに対する戦争」ではアメリカに従え、そうしない国はテロリストと同じだ、という二者択一を迫っています。アメリカは力によってテロを押さえつけようとしていますが、それは単なる対処療法で、テロが生まれてくる背景に目を向けようとはしません。世界の抱える病(富の偏在)を根本から癒そうとする努力なしにテロを止めることはできないでしょう。

もっとも、ブッシュにとっては、パパブッシュと同様、石油産業と軍産複合体の利益が最優先課題なわけで、テロが続くことを影で期待しているのかもしれません。

たとえば、アフガニスタンの暫定政府が武装解除を進めているというのに、アメリカは北部の軍閥に大量の武器を供給しています。自国へのテロには敏感に反応しても、他国の内戦には油を注ぐこの矛盾。

厄介なことに、アメリカが「テロに対する戦争」などという概念を流布したために、それに便乗する連中が現れました。ご存知の通り、ロシアとイスラエルです。これまで「内戦」と呼ばれていた紛争が「対テロ戦争」と呼びかえられたためにあたかも正義の戦争であるかのように宣伝されています。インティファーダとテロを同一視するのは大きな問題です。今のパレスチナの状況には目を覆いたくなります。

次に、メディアと大衆操作の問題です。ご存知の通り、戦争はメディアにとってもっとも「儲かる」ニュースです。ニューヨークタイムズが現在の地位を占めたきっかけは第一次世界大戦で前線からの詳細なレポートを掲載したことによるといいますし、CNN発展の転機は11年前の湾岸戦争です。このたび、アメリカの三大ネットワークは政府に右へ倣え状態で、国威発揚報道を繰り返したと聞いています。政府を批判する言論は隅に追いやられ、チョムスキーなどの進歩的な知識人にはほとんど発言の場が与えられなかったといいます。報道を見る限り、アメリカ人の大半が政府の政策を支持しているようですし、政府とメディアによる大衆操作は完全に成功したように見えます。

しかしながら、広島・長崎の被爆者の団体を受け入れることが可能であること、NACのボランティアたちがなんとかプレゼンテーションを続けていることなどを見ると、アメリカの良心は捨てたものではないと思います。ちなみに代表団の現地コーディネータはHIPの元メンバーで数ヶ月前まで広島に住んでいた Steve Leeper さんです(アトランタ在住)。

さて、日本でも米国の対テロ戦争を支持する世論は強いと思いますし、小泉内閣のテロ特別措置法案もすんなり通ってしまいました。

しかし、アメリカと日本ではやはり温度差があり、戦争以外の道を模索する人々も相当数に上ることが救いです。いくつか思いつくエピソードを書いて見ます。

・報復攻撃中止を訴える広告を米紙に掲載するための募金に1週間で2000万円が集まりました。
http://www.peace2001.org/

・若い人たちを中心に、Chance! という平和団体が設立されました。
http://give-peace-a-chance.jp/index.shtml

・福岡を中心とするパキスタン・アフガニスタン医療支援NGO「ペシャワール会」が呼びかけた「アフガンいのちの基金」への募金額が、10月12日から12月6日までの間に 395,136,426円に上りました。その中には、ぼくの息子が小遣いをためて募金したお金がささやかながら入っています。
http://www1m.mesh.ne.jp/~peshawar/

・坂本龍一が編集した『非戦』(幻冬社)がベストセラーになりました。
http://www.sustainabilityforpeace.org/home.php

・広島では毎週水曜日の夕方、原爆ドーム前で女性や宗教者を中心に「祈りの集い」が開かれ続けています。

世界を変えるのは難しい。でも、希望は捨てません。

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